私の提言 -武道のすすめ-
青少年をはじめとするモラルの低下が指摘されるようになって久しい。
近年の社会経済情勢の変化に伴い、子どもたち取り巻く環境も激変し、子どもたちの体力の低下、基本的な生活習慣の乱れ、しつけの低下など憂慮すべき問題が様々な形で現れている。また、最近では、これまでの常識では考えられないような事件や犯罪も多発しており、状況はますます深刻化している。あたかも社会全体のタガが緩み、日本人の精神的な支柱が失われてしまったという感がある。
これらの問題の原因の一つとして、有史以来の敗戦のショックから、戦後、日本の良き伝統まで全否定してしまったことがあるように思う。そして、こうした状況への対策の一つとして私は武道の振興を提唱したいと考えている。
武道は、長い歴史の中で多くの先人たちによって培われてきた、我が国固有の伝統文化である。武道の目指すところは、修練を通じて心と体を鍛えることはもちろん、礼節を重んじ、相手を尊重する精神を養うなど、究極的には武道を通じた人間形成を目標としており、武道の振興は、青少年育成の観点からも極めて有意義と考える。
ちなみに私自身も武道をたしなむ者であり、現在は空手6段、合気道3段の名誉段を頂いている。大学時代には日夜、時を忘れて武道の稽古に没頭した良き思い出がある。若き日に武道に打ち込んだことは自分の人格形成に大きな影響を与えたものと思うが、ワシントンの世界銀行勤務の頃、発展途上国やアメリカ国内を旅行する時、さまざまな場面で自分の身は自分で守れるという自信がどんなに自分に安心を与えてくれたことか。
学校では、現在、中学・高校で、柔道や剣道などの武道を選択履修できることとなっているが、ダンスとの選択になっている。ダンスがいけないというわけではないが、もったいない。私としては、男女を問わず、もっと多くの子供たちに武道を修得して欲しいと願っている。特に護身術として武道を是非女性にも身に付けて欲しいと思う。指導者として外部人材も積極的に活用しつつ、学校の授業のみならず、部活動や社会体育としても更に広がって欲しい。これからますます日本人が世界で活躍する場面が多くなるが、日本人は何らかの武道を身に付けているというイメージが広まることは良い事だと思う。
最近では、武道は欧米を含め世界各国でも人気が高まりつつあると聞くが、これからの一層のグローバル化の時代にあって、世界で尊敬される日本人を目指し、日本人の素養として、また護身術として、一人でも多くの方々に武道の修得をおすすめする次第である。