なぜ郵政の民営化が必要なのでしょうか

文部科学大臣 中山 成彬
郵政民営化は行財政改革の1丁目1番地です
 郵政民営化法案が参院で否決され、衆議院が解散されました。なぜ小泉首相はこれほどまで郵政の民営化にこだわるのでしょうか。それはこれが「公」部門の改革の「1丁目1番地」だからです。
バブル崩壊後の長引く不況を克服するために、企業や金融機関の持つ不良債権処理が行われ、社員のリストラや給料引き下げなど、「民間」部門の血の滲むような努力の結果、金融機関は正常化し、企業収益も向上し、景気は上向いてきました。「地方」も大変な議論の末、町村合併により首長や議員の数が大幅に減ることになります(平成十一年三月末と十八年三月末を比べると、市町村数3,232→1,822と1,400減。3役3,600人減、議員17,600人減)。国も国会議員や国家公務員を減らし、「小さな政府」を目指さなければなりません。
 今、国家公務員は約78万人です。そのうち郵政職員が38万人と半分近くを占めています。郵便局の仕事は公務員でなくとも民間人でできます。民営化することによって、郵便局はもっと活性化していくでしょう。まず「郵便事業の民営化」を行い、次に「公務員制度の改革」をする、そして四割を借金に頼っている「国家財政
の改革」をするのが小泉行財政改革です。
医療、福祉、年金等の改革ももちろん大切です。そのためにこそ、できるだけ小さな
政府にして、医療、福祉、年金、子育て支援等にお金を回せるようにするのです。「郵政民営化もできなくて何の改革ができるか」、小泉総理の心からの訴えをご理解下さい。

このままでは郵便局は先細りです
 国民の資産である340兆円の郵便貯金、簡易保険は財政投融資計画により国鉄や道路公団、特殊法人に運用されてきました。その資金が必ずしも有効に使われてこなかったのは、昨年問題になった社会保険庁の年金運用と同様です。そこで長い議論の末、NTT、国鉄、道路公団の民営化、政府金融機関の統合等の財政投融資改革が行われ資金の出口が締められました。今郵政の資金はほとんどが国債や地方債に運用され、国や地方の赤字財政を支えています。低利で借金できるので、これが安易な財政運営に流れる一因ともなっているのです。国民の貴重な金融資産はもっと国民生活の発展の為に活用されなければなりません。
 このように郵政資金の運用面は一部改善されましたが、一方で郵便局についての新しい問題が発生しています。電子メール等による通信が増え、郵便物は年々減少しています。また低金利が続き、郵便貯金や簡易保険が減少し、収益が悪化していきます。この状態が続きますと、郵便局の機能は先細りして、いずれ赤字に転落します。今のうちに民営化し、いろいろな収益事業ができるようにし、他方で非公務員化により合理化・活性化を図ることが迫られているのです。先に民営化されたNTTの料金は大幅に値下げされ、年中行事だった鉄道料金の値上げもなくなりました。

過疎地の郵便局も残します
 民営化の議論の中で、反対の一番の主張は、過疎地の郵便局がなくなり、地方切捨てになるということですが、今回の民営化法案では、全国25,000の郵便局ネットワークは国民の資産として堅持し、「過疎地の郵便局も廃止しない」ことになっています。今の郵政公社のままでは効率の悪い郵便局は廃止されますが、民営化されたら採算の悪い郵便局も廃止されないという変な話ではあります。しかし、原則は原則としても、現実に合わせて妥協・修正するのは政治の役目です。これは道路公団の民営化に当って、採算性の低い高速道路であっても、例えば「東九州自動車道」のように地域の強い要望を入れて建設することになったのと同じです。旧国鉄のように大幅な赤字を抱えて、にっちもさっちもいかなくなってからでは遅いのです。旧国鉄の30兆円もの借金は今、毎年国民の負担で返済中です。今回の郵政民営化はそうならない前に改革するものであり、なかなか理解されにくいのですが、二、三十年後には改革しておいてよかったと思う時が必ずやってきます。

一歩踏み出す勇気が必要です
 誰でも現状を変えることには不安が伴い、つい身構えてしまい勝ちです。例えば、私の所管である「国立大学の法人化」でも大変な反対がありましたが、昨年4月の法人化以降、各国立大学は大変活性化しています。研究成果をいかに社会に還元するかという産官学の連携を図る新しい取り組みが活発化するなど、これまでの「象牙の塔」から国民に顔をむけた国立大学に生まれ変わっています。「案ずるより産むが易し」、今、郵政関係者に求められているのは「一歩踏み出す勇気」だと思います。

民間の労働組合も民営化に賛成すべきです
 本来なら、一足先に厳しい改革を進めた「民間の労働組合」は自分達の税金が上がらないように「小さな政府」を目指す郵政民営化には賛成しなければならない筈です。今や自治労や全逓などの「官公労組合」は公務員という既得権を守ろうとする「守旧派」になっています。その支持の上に立つ民主党は「日本を変える」といいながら郵政民営化についての対案も出せません。郵貯の預入限度額を1,000万円から500万円に下げると提案していますが、そうなると大幅な赤字になってしまいます。
 日本をどう変えるのか、国民をどっちの方向に導いて行こうとするのか、自民党の混乱に乗じて「たなぼた」で政権を奪えると考える民主党は全く「無責任な政党」だと思います。